中1英語激ムズ問題―中学英語は本当に難しくなったのか(その2)

こんにちは!

ヤマシタ塾の山下です。

(前回の続き)

今は中1の最初から「英語がまったく分からん」という中学生が大量発生しているわけですが、実は中1から英語が苦手と感じる子は、現行の学習指導要領になる前から多かったんです。『中3生の英語学習に関する調査 2015-2018継続調査(東京大学社会科学研究所/ベネッセ教育総合研究所共同研究)』を見ると、英語が苦手と感じる時期として一番多いのは中1です。現行の学習指導要領になってからの調査データは残念ながら見つけることはできませんでしたが、おそらく、というか確実に中1から英語が苦手と感じる子の割合は高くなっていると考えられます。

「苦手になったとしても、頑張れば挽回できるんじゃないですか?」

そう思いますよね。でも、英語はそう簡単に挽回できる教科ではないようです。『令和6年度千葉県公立高等学校入学者選抜学力検査結果の概要(千葉県教育委員会)』を見るとそれが分かります。英語の得点分布では平均点あたりがへこんでいて、2こぶの山になっています。これは「できる子はふつうにできる一方で、できない子はまったくできないという二極化が、入試時点においても解消されていない」ことを表しています。

そう、英語は挽回が難しいんです。それはやはり、覚えるべき単語が多いことが理由だと私は感じています。英語が苦手な子のほとんどは文法以前に、そもそも単語が分からなくて停滞しています。単語が分からないと「Does 〇 teach 〇 ?は、主語が〇で三人称単数現在形の文だから、DoじゃなくてDoesを使うんだよ~」と、文法の授業を受けていても、分からない単語の部分がぽっかり虫食いみたいな状態になっているために、授業の内容を理解することができません。

前回の記事でも書きましたが、別に中学で学ぶ内容それ自体が難しくなったわけではない、というのが私の感覚です。ただ、学ぶべき単語が劇的に増えたために、授業の内容が理解できない子が多くなっていることは確かです。中1英語はそのはじめに超重要事項がぎゅぎゅっと満載です。しかし分からない単語が多すぎることによって授業の内容が頭に入ってこなかったり、重要な話を聞き逃したりしているうちに、中1の冬ごろには気づけば「何がなんだか分からない」状態になってしまう。これが中1英語激ムズ問題の正体であると私は考えています。

小学生のうちに学習指導要領が目標とする600語~700語を身につけておけばこんな問題は起きないのですが、「話す」「聞く」がメインの小学校英語でこんなに大量の単語を学校の授業(集団授業)だけで習得するのは不可能に近いです。実際に、小学校の英語の授業でしか英語に触れていなかった子の多くは、例えば「week」を「うぃ~く」みたいに発音はできるのですが、その意味は分からないといったことが驚くほどたくさんあります。

この状況に教科書会社も動き始めました。松戸市で使われている英語の教科書「NEW HORIZON」は来年度改訂されるのですが、改定のポイントとして「小学校で習ったからできるはず、という先入観をなくし」とのこと。(『令和7年度版 NEW HORIZON デジタルパンフレット』より)

さて、ここまでいろいろと書いてきましたが、そろそろまとめていこうと思います。この中1英語激ムズ問題は「分からない単語が多すぎる」ことによるもので、これが中1のはじめから英語につまずいてしまう子を大量に生み出しています。さらに入試結果からも分かる通り、英語は一度つまずいたら挽回は難しいということ。

これは教育の現場にいてひしひしと感じるのですが、最近は本当に逆転合格しにくくなったなと。スタートダッシュがうまくいった子がそのままうまくいくという順当合格が増えてきたなと。時代はもう、先行逃げ切りの時代なんだなと。

この状況に少しでも抗うために、通い放題という形で当塾はやっています。基本は早い時期から毎日コツコツ積み重ねて、順当合格を目指します。もちろん、逆転合格も諦めません。

大事なのは、「それでも前を向く」ということです。「あのときもっと勉強していたら」なんて過去の自分を恨んでも意味はありません。「〇〇のせいだ」と悲劇のヒロインを演じてもヒーローはやってきません。今の自分に不満を感じているなら、そういう時こそ空元気でも良いから、前を向こう。行動しよう。すると不思議と、気づいた時には本当に元気になってきますから。

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